信濃伸一副主任研究員(31)

萌え喪絵





「be word」 萌え市場
漫画、アニメなど888億円
浜銀総合研究所 信濃伸一副主任研究員(31)




 アニメやゲームに強いこだわりをもつ熱心なファンである「オタク」のなかで、「萌(も)え」と呼ばれる趣味・嗜好(しこう)が広がっている。国語辞典を引くと「萌える」は元々、「芽がふく」などの意だが、この場合の「萌え」は、「○○が好きである、好みである」という意味。「○○(キャラクター名)ちゃん萌え〜」といった使い方をされる。語源ははっきりしないが、「燃える」の誤変換など諸説ある。


 萌えの特徴は、アニメの特定のキャラクターが好きというより、外見的特徴や性格、職業などキャラクターの何らかの属性に対するこだわりという側面が強いことだ。例えばオタク層向けアニメでは、猫の耳をかたどった飾りのついたヘアバンド姿の少女がしばしば登場するが、そうしたキャラクターに対する嗜好は「ねこみみ萌え」と呼ばれる。そのほか、「メガネっ子萌え」「ドジっ子萌え」「メードさん萌え」など、萌えの対象は多岐にわたる。


 ファンらは自分の好きな属性をもつキャラクターのDVDやフィギュア(人形)などを買い集めて楽しむ。高じて自分でフィギュアを作る人もいる。「メードさん萌え」については、メードの格好をしたウエートレスが飲み物を運んでくれる「メード喫茶」が東京・秋葉原などに相次いで開店し、盛況のようだ。


 萌え市場の規模を03年の統計で推計すると、漫画雑誌、DVD・ビデオ、ゲームの3分野だけで計888億円に上る。子ども向けや、オタク層ではない大人向けも合わせたコンテンツ市場全体からみれば数%程度だが、ここ数年の伸びで存在感が増してきた。


 コンテンツ市場全体は、少子化の影響で90年代後半から横ばいが続いている。そんななかで萌え市場は、ニッチながら新たな需要掘り起こしに成功した貴重な例だ。今後も子どもの増加は期待薄なだけに、同様の細かなニーズ開拓が必要になるだろう。






メードって何?