鬼の話その三

日本の歴史に残る「鬼」として最も有名な鬼は、源頼光に倒された「酒呑童子」でしょう。

酒呑童子大江山の鉄の御所
頼光の仲間に平井保昌と四天王(渡辺綱卜部季武碓井貞光坂田金時)がいるように、
酒呑童子の配下には、「羅生門の鬼」として有名な茨城童子と四天王(熊童子、金童子、虎熊童子、星熊童子)がいます。

酒呑童子絵巻などでは、鉄の御所を攻略する頼光たちの前に、様々なモンスターが現れるわけですが、これも「山」という異界ゆえのことでしょう。鉄の御所に着くまでは、神様が道案内をしてくれていたのですが、鉄の御所に入ると消えてしまいました。
このことからも鉄の御所の中が現世と異なる理に基づいた空間であることがわかります。
一説には、酒呑童子素戔嗚尊に倒された八岐大蛇の子孫だとも言われています。
「朝廷に仇なす怪物」という両者の性質が結びついたためでしょう。
実際、この両者には共通点がいくつかあります。
恐ろしい姿や女の子を攫って食っていることもそうですが、
共に酒で身を滅ぼしていることも同じです。
ヲロチは濃〜い酒を飲まされ、泥酔して眠っているところを攻撃されて倒されました。
酒呑童子は人間には無害でも鬼には毒となる神酒を飲まされています。
また、以前鬼と鉄の関係について言いましたが、八岐大蛇の話も、鉄とのかかわりを指摘する説があります。
ですから八岐大蛇は日本の「鬼」の先祖であるといっても間違いではないといえるでしょう。